障害者歯科のご案内

社会的不利を持つ方の歯科治療について

社会的不利と一言で言ってもその範囲は実に広いと思います。ここでは先天的に知的障がいを持つ方や肢体不自由がある方、また心臓疾患や脳血管障害によって体が不自由になったり麻痺が起こった方、事故やけがにより機能が低下した方々の歯科治療について少しお話します。
日本で障がい者歯科治療が始められた頃、その対象は肢体不自由児が主体でそれに知的障がいをあわせた発達障害児を中心に行われてきたそうです。その後、先天的に障がいを持つ方だけでなく病気や事故により中途障がいを持つ事になった方々のケアも行われるようになり、現在の障がい者歯科医療は歯科医師や衛生士だけでなく、OTやPT、医師や看護士など多くの方々の努力によって発展してきました。
特に地域で中心的な機能を果たしている障がい者歯科保健センターの存在意義は大きく、さいたま市周辺では、さいたま市にある埼玉県歯科医師会口腔保健センター、蓮田の小児医療センター、上尾の県立リハビリテーションセンターなどでスタッフがしっかりとした診療にあたっていらっしゃいます。
また埼玉県に於いては障がい者歯科相談医制度というものがあります。レクチャーや実習などの研修を受け県から認定を受けた歯科医師が障がいをお持ちの方々のお口の事での困り事相談の窓口になったり診療をしたりするという制度で、相談医名簿が保健センターや役所に置いてありますので是非ご活用下さい。当院も相談医の認定を受けており、地域医療センターと連携して相談、治療から治療後の口腔衛生の維持管理までしっかりとフォローしていきたいと思います。少しでもお役に立てるようにスタッフ一同努力しております。
日本に於けるこれからの障がい者歯科は、より一層、障がいのある人、特別な支援を必要としている人を中心に据えた考え方で進められていく事でしょう。これこそが「障がい者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通に生活が送れるような条件を整えるべきであり、ともに生きる社会がノーマルである」というノーマライゼーションだと思います。